説明
山口大学医学部附属病院、呼吸器・感染症内科は、肺がんの治療をはじめ、肺炎、喘息、COPDなど、呼吸器疾患全般に対する診療を行っています。
今回は、難病に指定されている間質性肺炎の診療についてご紹介します。
■間質性肺炎の診療について
ヒトは呼吸をするとき、口や鼻から吸った空気が気管、気管支を通り、肺の構造の奥にある肺胞と呼ばれる場所に到達します。そこで肺胞に接している毛細血管内を流れている赤血球に酸素が受け渡され、二酸化炭素が肺胞内へ戻り体外へ吐き出されます。これをガス交換といいます。またこの肺胞と肺胞を取り囲んでいる組織を間質といいます。
間質性肺炎とは、様々な原因により慢性、もしくは急性に間質自体に炎症や線維化が起こり、そのため肺胞の壁が厚くなってガス交換がしづらくなる病気を指します。この場合の線維化とは、組織が硬くなることを言います。また肺が硬くなるために肺が拡張しづらくなり、肺活量が減る病気です。動いた時の息切れや痰が出ない乾いた咳が主に見られる症状です。
原因が特定できる間質性肺炎には、古い家屋などにあるカビや鳥の糞に含まれるカビなどを慢性的に吸入したことで起こる吸入抗原によるのもの、職業柄、粉塵を吸入することで起こるもの、自己免疫疾患である膠原病が原因のもの、そして、服用している薬や漢方・サプリメントが原因となる薬剤性のものなどがあります。
また、原因が特定できないものを特発性間質性肺炎と言います。その病態によりいくつかに分類される中で、最も多くみられるものに、特発性肺線維症(IPF)があります。
IPFは進行性の病気でありますが、患者さんによって進行度は異なります。年単位で非常にゆっくり進む方から数週間程度で急速に呼吸不全に進行する急性増悪を来す方まで様々です。また肺がんの合併率も高いので注意しなければいけません。
IPFはその治療が非常に難しい病気です。出来る限り早期に発見し、線維化の進行を抑えることが重要です。
近年、IPF への効果が期待できる抗線維化薬が臨床応用され、徐々にではありますが前進しています。
間質性肺炎は、原因が多岐にわたり、症状もほかの呼吸器疾患と類似しているため、その診断が非常に難しい病気です。山大病院では、放射線科、病理医、膠原病内科との連携により、早期の診断と適切な治療を行える体制を整えています。
進行性の病気である間質性肺炎は、症状を自覚できる頃には、病状が進んでいることも多くみられます。健康診断時の肺機能検査などは、呼吸機能の低下を数値的に判断できるので、定期的に受けるのも大切です。また胸の聴診所見で特徴的な音を聴取することで診断につながることもあります。胸部単純X線写真で見つかることもあります。長引く咳や息切れ症状などが見られた際にはまずはかかりつけ医を受診し、間質性肺炎が疑われる場合は一度呼吸器專門施設へ受診されることをお勧めします。
(おわりに)
呼吸器に関する症状などでお悩みの方は、どうぞ山大病院、呼吸器・感染症内科にご相談ください。
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