佐藤研究室では、オリゴ糖鎖の作製と糖鎖機能の利用技術の研究に取り組んでいます。現在、糖鎖は細胞機能の発現や細胞間相互作用に 重要な役目を果たしていることが解明されており、佐藤研究室ではあらゆる糖鎖の認識機能を理解し、目的の糖鎖を新たに合成、また阻害剤の開発など、基礎研究から医療面への応用まで幅広く手がけています。

Q「糖鎖というのは、遺伝子とかタンパク質に比べると馴染みがない分子かもしれませんが、細胞の表面というのは糖鎖で覆われているんですね。細胞の増殖とか転移とかそういった機能にも関わっていますし、さらにはインフルエンザウイルスといったウイルスの受容体となっているので様々な病気の原因となっている分子であるということも知られています。」

糖鎖は感染、癌の転移、アルツハイマー病など多くの疾病とも関係していることから、糖鎖の機能を知ることで医薬品の開発も可能になってきます。佐藤研究室では、人工的な膜を使ってインフルエンザウイルスとシアリルガラクトースと呼ばれる糖鎖分子の相互作用を解析し、それによって脂質膜の構造に依存したウイルスの結合が起きることを発見しました。

Q「でここで次に行えるということは、じゃあそれを感染する化合物はないあかということを探し始めたんですね。でそうしますとオリゴ糖鎖というものがそのウイルスの糖鎖への結合を感染を阻害するということが分かりました。でそれと同時に新しい分子をつくってみようということで、そのファージライブラリーというライブラリーの中から感染阻害剤を探していこうというような研究をしました。でそうすると非常に面白い化合物が見つかってきたということで、そういった知見をもとに今、高インフルエンザ薬の開発というのを進めております。」

このようにオリゴ糖鎖を阻害剤の創製に役立てるため、佐藤研究室では、糖鎖プライマーと培養細胞を組み合わせる「バイオコンビナトリアル合成」を利用し、新たなオリゴ糖鎖を構築しています。この方法であれば、糖鎖プライマーと細胞だけで糖鎖が得られるうえ、生成後の分離や反復利用が可能になるため、あらゆるオリゴ糖鎖が生産できるのです。
そして、糖鎖のもうひとつの特徴として、医薬品を細胞の中に選択的に導入する「ドラッグデリバリーシステム」と呼ばれる技術が期待されています。
現在、治療用の遺伝子の運び屋であるウイルスベクターは、抗原性や病原性などの安全面が解決されていません。佐藤研究室では、安全性が高い生体高分子と遺伝子との複合体を作り、より副作用の少ない細胞内導入試薬の開発を進めています。

Q「我々は、その糖鎖の中でも天然由来の多糖体のキトサンというものに注目しています。で、このキトサンと遺伝子を混ぜ合わせると非常に綺麗な複合体、微粒子ができるんですね。でこういった微粒子化すると細胞の中に非常に取り込まれやすくなります。それをさらにガン細胞に特異的に遺伝子を送り込むということで実はそのキトサンと遺伝子の複合体に、ガン細胞と親和性のあるようなある仕組みをちょっと加えることで非常にさらに効果がちょっと高まるということを最近報告しました。」

Q「糖鎖を多角的に研究することで、医用材料や再生医療に利用できる安全で多様な機能性分子の創製。佐藤研究室では糖鎖をキーワードに、今後も新しい医用材料の開発・実用化に向けて研究を進めています。」

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