
重症急性呼吸器症候群, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=5989 / CC BY SA 3.0
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重症急性呼吸器症候群
重症急性呼吸器症候群(じゅうしょう きゅうせい こきゅうき しょうこうぐん、 )は、SARSコロナウイルス (SARS coronavirus; SARS-CoV) によって引き起こされるウイルス性の呼吸器感染症である。動物起源の人獣共通感染症と考えられている。ウイルス特定までは、その症状などから、新型肺炎(しんがたはいえん)、非定型肺炎(ひていけいはいえん、)などの呼称が用いられた。
2002年11月から2003年7月にかけて、中華人民共和国南部を中心に起きたアウトブレイクでは、世界保健機構 (WHO) の報告によると、香港を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡したとされている(致命率9.6%)(なお数字に関しては、世界30ヶ国8,422人が感染、916人が死亡(致命率11%)という文献も存在する)。このアウトブレイク終息後は、封じ込め宣言後いくつかの散発例があったが、現在に至るまで、新規感染報告例は無い。
現在の症例定義は、「38度以上の高熱及び咳、呼吸困難、息切れのいずれかの症状」「レントゲン検査において肺炎の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている。また水様性下痢を呈する例も存在する。感染経路としては飛沫感染や接触感染が考えられている。
最初の症状はで、発熱、筋肉痛、無気力状態、咳、咽頭痛、その他非特異的症状が見られる。全患者に見られるのは以上の発熱だが、始まるまでには2〜7日の潜伏期間が存在する。この病気では粘膜病変を伴わず、咳は乾性咳である。SARSでは呼吸困難や肺炎、またはその両方が見られることがあるが、これは一次的な、また細菌性肺炎双方の可能性が考えられる。発熱に伴う肺病変は間質性肺炎であるが、これにはウイルスが誘導する免疫・サイトカインの関与が考えられている。喀痰には10億コピー/mLのウイルスが排出されるとされ、この状態では感染性が非常に高い。またウイルス血症も起こしうる。
最重症例では、免疫反応によって、サイトカイン・ストームを引き起こすことがある。
消化管感染も示唆されており、糞便中にウイルスが数多く排出されるほか、10%の症例では水様性下痢が確認される。
2003年のアウトブレイク時、SARS感染は次のような患者で疑われた。
現在の症例定義では、渡航歴は問わず、「38度以上の高熱及び咳、呼吸困難、息切れのいずれかの症状」「レントゲン検査において肺炎の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている。
感染の疑いが濃厚な患者では、胸部X線写真で非定型肺炎や急性呼吸窮迫症候群などの症状、またはコロナウイルス検査での陽性所見が見られる。WHOでは、感染の疑いが「濃厚」()だが胸部X線写真で特徴的な症状が見られず、またELISAや免疫蛍光抗体法、PCR法などのテストで陽性となった患者について、"laboratory confirmed SARS" とのカテゴリを設けた。胸部X線写真については、SARS患者でも像がまちまちであるが、一般的にまだらに浸潤するような不自然な像が見られることが多い。初期ではX線写真で気道炎症所見を認めない。臨床症状はインフルエンザやマイコプラズマ肺炎に類似しており、症状のみでの鑑別は難しい。
確定診断にはウイルス分離、核酸検出、中和抗体の上昇などが決め手となるほか、迅速診断には咽頭ぬぐい液からのRT-PCR法・LAMP法などが用いられる。
SARSのワクチンは研究段階である(→#治療)。治療法は確立していないが、先のアウトブレイク時の教訓から、一般的な感染防止策の徹底が二次感染防止に有用であることが示されている。また感染経路としては、飛沫感染と直接・間接的な接触感染が想定されている。SARSコロナウイルスは環境中で安定であり、中国政府対策本部からの発表によれば、紙・木などの環境中で3日間、痰や糞便中で約5日間、血液中で15日間生存するという(従来知られていたコロナウイルスでは、環境中で3時間)。またエタノールや漂白剤、界面活性剤などでの消毒で死滅するとされている。隔離と検疫がSARS予防に重要である。他にも次のような予防法が存在する。
院内感染対策として、サージカルマスクや使い捨てガウンが有効であったとの報告が...
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