山口大学医学部附属病院・整形外科では、脊椎、腫瘍、マイクロサージャリ―など幅広く治療を行っています。

関節疾患における手術治療では、術後の生活における制限がより少ない人工関節置換術など、患者さん一人一人に寄り添った治療を行っています。

今回は、変形性膝関節症に対する外科的治療の最新事情についてお話します。

変形性膝関節症とは、加齢や外傷などにより膝関節が変形する病気です。関節の変形に伴い、膝の軟骨が摩擦などですり減ることで強い痛みが生じ、進行すると安静時にも痛みが取れなくなることもあります。

また歩行にも支障をきたすため、QOL・つまり生活の質が著しく低下してしまいます。

治療は症状や痛みの度合いによって段階的に対応していきます。初期の段階で痛みも軽い時は、鎮痛剤と運動指導によって症状が改善することもあります。また、膝に負担がかかる肥満への対応も大切な要素になります。

次の段階では内視鏡による外科治療になります。内視鏡で膝関節の状態を確認しながら、痛みの原因である半月板や軟骨のささくれを除去するなど、膝関節をきれいにする手術です。しかし、根本的な変形の改善ではないので、あくまで症状の進行を遅らせる治療になります。

痛みがひどく、歩行が困難になってくると、外科的な手術が必要になってきます。その一つが膝周囲骨切り術です。膝関節の変形は主に、外側に変形するいわゆるO脚と内側に変形するX脚に分かれます。この手術では、それぞれ膝関節の下の脛骨を、変形の反対側に切り込みを入れ、そこに人工骨を埋め込みます。そこを金具で固定し、膝関節の角度が最もバランスよく体を支える位置になるようにします。回復までに時間がかかってはしまいますが、自分の骨を温存でき、関節の動きもスムーズに行えるようになるので、スポーツをされている方などには適した手術といえます。

もう一つの外科手術として、人工膝関節置換術があります。文字通り人工の膝関節に置き換えるわけですが、近年、その品質はかなり向上していて、耐用年数も15年から20年と昔に比べて伸びてきています。

また手術は最新の3Dナビゲーションシステムによって事前に作成したデータを基に、ほとんど誤差のない正確な位置測定によって、確実な人工膝関節の置換が可能になっています。

こちらの手術の場合、術後膝の痛みは大きく改善します。一方ジャンプなどの付加の大きい運動に関しては、膝関節の状態を保つために、我慢していただく必要があります。

いずれにしましても、変形性膝関節症の治療は、整形外科的な治療だけでなく、運動機能や生活習慣の改善など、総合的な治療が必要となります。山大病院では各科連携で治療に取り組んでいますので、是非ご相談ください。

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