http://wasedamental.hatenadiary.jp/entry/2020/05/29/%E8%96%AC%E3%81%AF%E9%A3%B2%E3%81%BF%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B
初めての質問失礼します。 主治医とうまくいかないことが続き、友人の勧めで、そちらに転院しようか迷っている者です。 | Peing -質問箱-
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質問をいただきました。
薬の継続は必要か、についてです。
精神科の病気を列挙し、それぞれの疾患について答えてみようと思います。
病気は大きく3つに分かれます
【外因性精神疾患】
【内因性精神疾患】
【心因性精神疾患】
外因性精神疾患は脳炎や脳腫瘍、甲状腺機能低下症など身体的な問題からくる精神異常なので、身体的な治療の継続が必要です。
内因性疾患は、統合失調症、うつ病、躁うつ病のことを指しますが、これらはいずれも再発予防のために薬を飲み続ける必要があります。
心因性疾患について
・ストレスが原因の一過性のもの:適応障害、パニック障害など→症状が落ち着けば薬はいらない
・体質的なもの:不安障害、強迫性障害、発達障害など
→薬を飲み続けることで体質改善し、症状が緩和される。飲み続けた方がコスパが良いことがおおい
・その他のもの:人格障害、摂食障害、アルコール依存など
→ケースによるが、薬がほとんど効果を示していない時も多く、必須ではない
ということになります。
●補足
精神科の薬について
【向精神薬】
精神科の薬を「向精神薬」と呼びます。
向精神薬を分けると、おおむね以下の通りです。
抗精神病薬
抗うつ薬
気分安定薬・抗てんかん薬
抗不安薬・睡眠薬
その他(抗認知症薬など)
【抗精神病薬】
抗精神病薬は主にドーパミンを遮断する薬で、統合失調症の患者さんに処方されます。副作用として、飲むとけだるく、鎮静作用があるため、興奮している人や暴れている人、眠れない人にも処方することがあります。抑うつ状態の人に抗精神病薬を少量加えると、鬱が良くなることもあるので、そのような処方の仕方もあります。
抗精神病薬は
定型、②非定型
に分けることができます。
おおざっぱに言えば、定型に属するものは古いタイプの抗精神病薬で、鎮静作用が強く、またパーキンソン症状などの副作用も強いです。例:ハロペリドール
非定型とよばれるものは、定型よりも新しいタイプの薬で、副作用は少ないです。現代ではほとんど非定型の薬を使っています。
非定型の薬は以下の種類に分けます。
SDA:例:リスペリドンなど
MARTA:マルタと呼ぶ。例:オランザピン、クエチアピンなど(クエチアピンはドパミン遮断作用は弱いが、抗うつ効果が強く、様々な使い方をします)
DPA:ドーパミン受動態部分作動薬、アリピプラゾール(エビリファイ)など。少量だと抗うつ効果、中等量以上で抗精神病効果がある、不思議な薬。アカシジア(足がむずむずすること)になりやすい。
【抗うつ薬】
抗うつ薬は文字通り、うつ病の人に処方します。うつ病の人は、抑うつ症状の改善効果および再発防止効果があるので必ず飲んでください。躁うつ病の人に処方すると、躁状態になる恐れがあるため、原則処方はしません。また若い人に処方すると自殺のリスクが上がるため、慎重に投与します。他にも、高用量で強迫性障害や不安障害、パニック障害に効果があります。が、効果作用まで2週間ほど時間がかかり、また毎日飲まないと効果がないため、軽症例にはあまり使いません。抗うつ薬それ自体にイライラさせる作用があり、神経症に対しても、あまり使いません。
抗うつ薬についても、三環系とSSRI/SNRIに分けることができます。SSRI/SNRIの方が新しく、副作用も少ないです。
三環系抗うつ薬:アナフラニールなど
SSRI:パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど
SNRI:サインバルタ(鎮痛作用もある)など
NaSSA(ナッサ):リフレックスなど。抗うつ効果は高いが、鎮静作用が強く、眠気が出る。
【気分安定薬・抗てんかん薬】
気分安定薬は躁うつ病の人に処方します。抗てんかん薬由来のものが多いので、一緒にまとめました。てんかんの人もたまに来ています。全般性発作にはバルプロ酸、部分発作にはラモトリギン、イーケプラが基本です。
血中濃度を測らなくてはならないのも、このグループの特徴です。
躁
うつ
炭酸リチウム
〇
〇
血中濃度を測る
バルプロ酸
◎
×
血中濃度を測る
ラモトリギン
×
◎
副作用として皮膚炎に注意
カルバマゼピン
◎
×
古いタイプで、副作用も多いので使わない
【抗不安薬・睡眠薬】
主にベンゾジアゼピン系の薬物にあたり、リラックス作用・睡眠作用があります。効果はお酒に少し似ていて、依存性がある点もお酒に似ています(が、お酒ほどはありません)。
入眠剤
一晩
ベンゾジアゼピン
レンドルミン
ロヒプノール
非ベンゾジアゼピン
マイスリー
新薬
ロゼレム
ベルソムラ
その他(漢方や副作用利用)
抑肝散、テトラミド、リフレックス、クエチアピン
抗不安薬:作用時間によってタイプを分ける
・短時間型:でぱす、リーゼなど。効果が短い分、より依存性が高い
・中間型(3~6h):ブロマゼパム(レキソタン・セニラン)、ソラナックス
・超長時間(24h):メイラックス
【その他、抗認知症薬】
認知症の薬は少なく
コリンエステラーゼ阻害薬:アリセプト、レミニール、イクセロンパッチ
NMDA受容体アンタゴニスト:メマリー
と4種類あります。
またADHDに対し、コンサータ(少量がゆっくり放出される、覚せい剤)、ストラテラ(SNRIに似ている)、インチュニブ(高血圧の薬に似ている)があります。ASDに対する薬はまだありません。コンサータの有効性が高いですが、処方できる医師・薬局が限られています。ストラテラはジェネリックがあり、安いです。
精神科でも漢方を使いますが、エビデンスがあるものが少ない印象があります。
・抑肝散:もともと夜泣きの子供に出したもので、認知症の不安や神経症の人に処方することがある。
・加味逍遙散:神経症に対して
早稲田メンタルクリニック院長として働く、現役精神科医益田裕介があなたの疑問に答えます!
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