「急性肺障害および肺線維症の急性増悪を改善するための医薬組成物」三重大学 大学院医学系研究科 生命医科学専攻 免疫学 教授 ガバザ エステバン



「ライフサイエンス 新技術説明会」(2021年7月15日開催)にて発表。
 https://shingi.jst.go.jp/list/3tokai/2021_3tokai.html

【新技術の概要】
特発生性肺線維症などの難治性肺疾患の予後は極めて悪く、治療薬としては、現在、pirfenidoneやnintedanibなどの抗線維薬が用いられるが、十分な治療効果が得られなく、新たな治療法の開発が急務である。また、特発生性肺線維症などの難治性肺疾患患者の主な死因は病態の急性増悪であるが、現在、日常臨床ではその早期診断法は困難であり、急性増悪の新たなバイマーカーの開発が望まれている。

【従来技術・競合技術との比較】
現在、特発生性肺線維症の治療として傷害されている肺上皮細胞が分泌する成長因子の発現を抑制する抗線維化薬が使用されているが、延命効果が全く認められていない。肺傷害・線維症の原因は肺胞上皮細胞のアポトーシスであることが最近の研究で明らかになりつつある。しかし、その細胞死誘導因子は未だに同定さておらず、治療法の開発が困難である。本発明では肺胞上皮細胞の死を誘導する肺内細菌叢由来のコリシンと名称した新規ペプチドに対するモノクローナル抗体を開発した。また、本発明では肺内細菌叢由来のコリシンに対して開発したモノクローナル抗体は、in vivoの実験において、transforming growth factorβ1過剰発現に伴う肺線維症とその病態の急性増悪を抑制した。さらに、本抗コリシンモノクローナル抗体はブレオマイシン誘発肺線維症マウスモデルに対しても同様の治療効果を示した。本抗コリシンモノクローナル抗体を用いて体液中のコリシンをより感受性高い方法で測定する方法も開発し、この方法にて肺線維症の急性増悪が早期に診断することができた。

【新技術の特徴】
・急性肺障害に対して有意な抑制効果を示す薬物である。
・肺線維症患者の死因である急性増悪を抑制する薬物である。
・バイマーカーの可能性が高い標的分子である。

【想定される用途】
・急性肺障害の治療薬
・肺線維症の急性増悪の治療薬
・急性肺障害・肺線維症の急性増悪のバイマーカー

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